Sony Mobile Communications


DEVEROPERS INTERVIEW

Vol.03 MECHANICAL DESIGN エンジニアに聞くこだわりのXperia™開発ストーリー Sony Mobile Communications Mobile Communications メカニカルエンジニア金田 慎治

ソニーモバイルコミュニケーションズ初のAndroidケータイにふさわしい魅力的な製品を作るため、メカニカル・エンジニアとして外観美・機能美を追求し、細部にまでこだわり抜いてきた金田氏。一見シンプルに見える外観の裏には、緻密な計算と数々の試行錯誤があった。

01:外観美・機能美を追求したシンプルな筺体

―XperiaTMを開発する上で大切にしたことは?

金田  Xperia™は「ユーザビリティを最優先する」という商品の軸を決してぶらすことなく、“外観の美しさ”“機能的な美しさ”を徹底して追求しています。使い勝手と外観美のバランスを常に考慮し、多機能・高性能でありながらもいかに直感的な使い勝手にするか、デザインコンセプトでもある「Human Curvature」「Precision by Tension」を実現していくかを考えました。

―商品の大きさなどについての議論/検討はありましたか?

金田  開発する上で、どの製品でもスタイルをどうするか、小型化・薄型化などのサイズ感などの議論は必ず行います。このXperia™でも、タブレット型にするのか、スライド型にするのか、それともまったく新しいスタイルにするのかなど、あらゆる可能性を検討しました。その結果、シンプルなタブレット型となりましたが、ソニーモバイルコミュニケーションズらしさを極限まで追求し、この直線面と3次元曲面が融合したXperia™の形状が誕生したのです。

―この大きな電池蓋も特徴的ですね

金田  通常、電池蓋は、電池部分を隠すための部品ですが、このXperia™では、外観をより美しくシンプルに魅せるために、筺体背面全面を覆う電池蓋構造を採用しました。これにより、通常背面に出ていた機能部品等をすべてこの蓋の中に隠し込むことができ、すっきりとしたデザインを実現しました。

02:数字の領域を超えて微調整を繰り返したフォルム

―中でも一番見てほしいところは?

金田  このXperia™を手のひらで包み込んだとき、しっとりと心地よい感触が得られるよう背面のS字曲面のフォルムには徹底的にこだわりましたので、是非手にとってその感触を体感していただきたいです。何度もブロックモックを作っては、デザイナーと持ったときの感触やサイズ感などについて、毎日のように検討を重ね、デザイン面の微調整を繰り返しました。背面の定義には本当に時間をかけ、試作品は数え切れない程作りました。また、ブラック色にはしっとりするソフトフィール塗装、ホワイト色にはグロス塗装と加飾に関しても、触感にこだわっていますので是非感じてもらいたいです。

―開発過程で苦労も大きかったと思います

金田  Xperia™は、液晶タッチパネル面のガラス以外は、ほぼ3次元曲面で構成されているため、デザイナーとのイメージの共有やメカニカルな定義を行うのが2次元の線図上では非常に困難でした。裏面フォルムの微調整などは手に持った感触がとても重要だったので、「この面をあと少し持ち上げて」などと数字の領域を超えたところでの微調整が必要とされました。

―内部構造との兼ね合いも難しかったのでは?

金田  外装筺体面は3次元曲面を多用したデザイン定義がされていますが、内部の基板や電気部品は、直線的なものがほとんどです。内部構造と外観デザインとの兼ね合いは本当に複雑で、部品レイアウトの一部を変更するとデザインを微調整し、デザインの一部を調整すると内部構造を微調整するという作業の繰り返しでした。このバランスを取れるのは我々メカニカル・エンジニアだけなので、大変ではありましたが、それ以上にやりがいを感じました。

―ボタンキーの光り方も独特ですね

金田  ボタンキーの照光には、キー面全体を光らせる手法や文字だけを光らせる手法はよく採用されますが、このXperia™では、「よりLuxuryな印象を与えたい」「Xperia™が秘めている可能性というものを表現したい」という思いから、ボタンキーの隙間部に小さいピンホールを配置し、その小さい穴からキラリと光らせる構造にし、ブラック色ではブルー、ホワイト色ではパープルとそれぞれ照光色を替えて魅せるという構造にしています。

03:見えない箇所へも美のこだわりを

金田  さらに、電池蓋を取り外した2次体裁面へも、メカニカルなデザインを施しています。SDカードを抜く時など、蓋を外した時にしか見えない2次体裁面ですが、細部に至るまで徹底的にこだわりました。カメラキーはXperia™を横持ちにした時の人差し指の第2関節が外観コーナーに当たるよう配置し、天面中心にステレオジャック、底面中心にストラップホール、背面中心にはカメラを配置しています。機能性とデザイン性を融合させた部品レイアウトになっていると思います。

―最後に・・・

金田  Xperia™には、コンセプト策定段階から参画し開発に携わってきましたが、本当に細部にまでこだわり、製品の美しさを極限まで追求することができました。Xperia™には、私たちの様々な思いやこだわり、メッセージがぎっしり詰まった製品に仕上がっています。お客様に届き、感じ取ってもらえたら本当に嬉しく思います。


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