―ソフトウェアを開発するうえで大切にしたことは?
長谷川 お客様にストレスを感じさせないスムースな操作性を実現することです。と同時に、一瞬で目を奪われるような美しいインターフェースを目指しました。
ソフトウェアの開発では、UIデザイナーが「こんなデザインでこんな風に動かしたい」というイメージムービーを制作します。その理想形を目指しつつ、実際の使用シーンやフルタッチパネルでの操作特性を考慮してさまざまな工夫を盛り込んで使い勝手のいい製品の形にするのが、ソフトウェアエンジニアの仕事です。
また、多くのお客様に「良いアプリだ」と感じでもらうためには、少し触っただけで直感的に操作できることが重要です。お客様の使い方や好みは千差万別ですから、あらゆる操作パターンを想定して地道な検討を重ねました。
―もっともユーザーに勧めたいアプリケーションは?
長谷川 Timescape™です。SNSやメールのヘビーユーザーにも、Xperia™で初めてTwitterを試すようなライトユーザーにも、使いやすいアプリになるよう心がけました。
多くのお客様にとって、不在着信やメール、SNSの通信履歴、写真や再生した音楽などを同時に表示できるのは、便利な機能です。しかし、たとえば、Facebookから1日に数十~数百件の更新があるようなヘビーユーザーの場合、ぼう大なデータが全部表示されていると、かえって使い勝手が悪くなることがあります。
そこで、表示するデータの種類をユーザーが設定できるようにしました。mixiは頻繁に・Facebookは時々見るだけ、というようなきめ細かい設定もできるようになっています。他の点でもTimescape™は、大変良い出来だと自負しています。
―POBox Touch1.0は大変斬新なシステムですが、いつ頃できたアイデアなのですか?
長谷川 Xperia™のプロジェクトがスタートする以前から、社内で文字入力システムのチームを作り、研究を続けてきました。 いずれタッチパネル搭載モデルが登場するときのために暖めていた構想を、今回ようやく実現することができたのです。一番やりたかったキー部分のレイアウト見直しを盛り込むことで、使いやすさが圧倒的に向上しました。
―POBox Touch1.0の開発でもっとも重視されたことは?
長谷川 QWERTY配列のキーボードは、多くのお客様にとってなじみ深いものですよね。Xperia™では、この使い慣れた入力システムをベースに、さらに使いやすさを追求しました。
4インチの液晶はモバイル端末としては大画面ですが、小さな面積のキーをタッチ入力するのは慣れるまでに時間がかかります。次に使われるキーだけを押しやすくする仕掛けや、日本語でよく使う記号だけは切り替えなしで入力できる、といった工夫は、当初からプロジェクトの中心的なアイデアでした。キーの動きは他のメンバーと議論しながら、微調整を繰り返しました。使い勝手の良し悪しは些細なところで大きく変わりますから、大変やりがいのある作業でした。