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VOICES 映画監督 塚本 晋也 しっとりとしているけど、豪華で広がるような、柔らかい画が撮れる

『鉄男』や『野火』をはじめとする数々の作品で世界中に熱狂的なファンを持ち、国内外の映画作家からも尊敬を集める塚本晋也氏。
デビュー以来貫く自主制作スタイルの中で、
実験と挑戦を重ねながら、多くの名作を生み出してきた。
「小さな編成で映画を作る」ことを主題としてきた塚本氏が、今回Xperia 1に見出した大きな可能性、映画作りの間近な未来を語る。

映画監督 塚本 晋也

映画監督

塚本 晋也

映画監督

塚本晋也

14歳で初めて8ミリカメラを手にする。『電柱小僧の冒険』で1988年度PFFグランプリ受賞。1989年『鉄男』で劇場映画デビューと同時に、ローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリ受賞。以降、国際映画祭の常連となり、世界各地で配給される作品は国内、海外で数多くの賞を受賞。主な作品に『東京フィスト』(1995)、『バレット・バレエ』(1998)、『双生児』(1999)、『六月の蛇』(2002)、『ヴィタール』(2004)、『悪夢探偵』(2006)、『KOTOKO』(2011)、『野火』(2014)などがあり、初の時代劇となる最新作『斬、』(2018)は現在国内外で上映が続く。また俳優としても活躍し、監督作のほとんどに出演するほか他監督の作品にも多く出演。庵野秀明監督『シン・ゴジラ』、マーティン・スコセッシ監督『沈黙—サイレンス—』などで知られる。

Interview

SHINYA TSUKAMOTO / Director meets Xperia 1 SHINYA TSUKAMOTO / Director meets Xperia 1

『手の感覚と画がぴったり合うカメラでなければいけない』

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塚本さんは“監督”という肩書きでは括れないほど映画制作の全工程に携わられていますが、改めてお仕事の内容を教えてください。

塚本 : 自分でも映画監督という意識はあまり持っていません。脚本、製作、撮影、編集をし、配給や宣伝にも関わらせてもらうので、監督というよりは「映画を作っています」というのが適切ですね。次第に多くの信頼できるスタッフにいろいろお願いするようになりましたが、どのパートにもどっぷり主体的に関わることに変わりはありません。思えば、僕はディレクターズチェアというものに1回も座ったことがないんです。自分でカメラを回したり演技もしたりで大概動いているので、座っている暇がないんですよ。

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ご自身で撮影されるので機材選びにはとてもシビアだと思います。
映画撮影で使用されるカメラについて教えてください。

塚本 : ここ10年はずっとソニーのカメラを使っています。中でも長く愛用したのがPMW-EX3(以下EX3)で、『鉄男 THE BULLET MAN』からの4作をこれで撮影しました。僕の映画は激しいアクションなどもあるので、自分のカメラを動かす感覚と画面の画がぴったり合わないダメなんです。ズームや素早くパンしたときに、手の感覚と画がしっかり連動して、吸い付いてこないといけない。自分が試したところ、当時はわずかにヌルっと反応するようなカメラが多くて。また、僕の映画は少人数でいろいろな場所に行ったりするので機動力が大事で、俳優の表情や自然風景を美しく捉える絶対的な画質も必要。それらを満たした上で自分の動きにびしっと合ったのがEX3でした。『KOTOKO』のときにEX3で撮った沖縄の海がすごくきれいで、大自然を舞台とした『野火』でもフィリピンの自然をしっかり再現することができました。自分の映画の中でも大切な作品をEX3で撮れて、感謝の気持ちが大きいですね。最新作の『斬、』では、4Kのカメラで撮影してみたかったのでPXW-FS7を使用しています。僕はもともと機材にそこまで詳しくないのですが、多くのカメラを自分で試した上で、操作性と画質の点から選んだのがこれらのソニーのカメラでした。

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『8ミリカメラで撮っていた頃のような自由で軽やかな感覚』

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今回Xperia 1で短編作品を撮影していただきました。
Xperia 1の印象と撮影のテーマを教えてください。

塚本 : 映画をなるべく小さな編成で撮りたいというのが僕の主題のひとつなので、今回Xperia 1を使わせてもらうことになり願いが現実味を帯びたというか、「これで本当に映画作品を撮れないか」という野望が湧きました。それは僕の本当の望みでもあるので、真剣な気持ちで使わせてもらいました。撮影場所である新潟の高田世界館は、『野火』の全国上映の際に回った映画館のひとつなのですが、明治からの姿をそのまま残していて、昔の映画館の建築物としての素晴らしい美しさがあります。古いものを一番新しい技術で撮って残したいという思いと、その古い建築物が持つ風格をXperia 1でどこまで表現できるかを試したくて撮影しました。天井の装飾などのディテールに愛情を込めつつ、映画館の秘密基地のような魅力を知ってもらえたらと、構造がはっきり分かるように入り口から天井、客席、映写室とワンカットのイメージで撮影しました。

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実際撮影されて、使用感はいかがでしたか?

塚本 : 階段の手すりをくぐり抜けたり映写機のギリギリ横に行ったり、大きなカメラだととても大変なのですが、Xperia 1だとコンパクトなので細かいところにも自由に入っていけて面白かったですね。縦横無尽に動けて、軽いのでワンカットの途中で息絶え絶えになることもない(笑)。普段の撮影ではいくら小さな編成でもさまざまなスタッフがいるのですが、このときは自分一人で、しかもXperia 1は簡単に撮れるので、「ああ、8ミリカメラの頃はこんな感じで映画を撮っていたな〜」と懐かしくなりました。例えば、映画の現場でワンカットのシーンをもう1回撮るとなると、仕切り直しになるのでかなり大ごとなのですが、このときはちょっともう1回撮り直して来ようという感じで。軽やかにカメラが使えるというか、懐かしい感覚でしたね。

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Xperia 1の映像撮影機能「Cinema Pro」の感想を教えてください。

塚本 : 「Look(ルック)」を選べるのも良かったし、それがフィルム映画のルックに非常に近いのが良かったですね。コンパクトなカメラで映像を撮る場合、特に昔はいわゆるビデオの画質みたいに鮮やかなんだけど味わいのない画になることが多かったのです。対してXperia 1は、しっとりとしているけど豪華で広がりがあるような、柔らかい画が撮れる。映画館の大きなスクリーンに映して観てみたいと思いました。あとはレンズ3本を切り替えられるのも面白いですね。今回は高田世界館の広大な雰囲気と、狭いところに潜入していく感じを表現したかったのでワイドレンズを選んで撮影しました。

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ディスプレイの印象はいかがでしたか?

塚本 : ディスプレイはすごく大事です。コンパクトなカメラだとどうしてもディスプレイが小さくなりますが、Xperia 1のディスプレイは大きくて品質も良い。普段の撮影現場だと、カメラと色などを確認する業務用モニターは別に用意しなければならないので、画質のよいモニターをカメラの横でスタッフに持っていてもらって見せてもらうとか、カメラの上に取り付けて見るようにしたりと、結局見づらかったり重くなってしまったりしたのですが、Xperia 1はカメラに本格的なモニターが付いているような感覚。モニターで再現性をきちんと見ながら撮影できるのが素晴らしいと思いました。

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